漢方薬もドクターの処方箋が必要だと思っていたのですが、漢方薬局では処方箋は必要ないのですか?
一般的に漢方薬として分類される医薬品のほとんどは「第二類医薬品」といって薬剤師や登録販売者の資格を持つ人が販売することが出来る医薬品に分類されます。
また、漢方薬の選定は「処方」ではなく、その人の状態に合った一般用医薬品を「選択し販売する」ため、医師の処方箋を必要としません。
その他煎じ薬などは「薬局製剤」に分類されます。これは市販薬と異なり薬局で調合することができる医薬品で、こちらも医師の処方箋を必要としません。
普通の薬と漢方薬の違いはなんですか?
普通の薬(いわゆる西洋薬)と漢方薬とは治療の目的が異なります。
西洋薬は正常値を参考にコントロールし、症状の重症化を防ぎ進行を抑えます。
あるいは抗生物質や抗がん剤などにより、原因となる菌体やがん細胞を攻撃・駆逐して改善させます。
それに対し漢方薬は東洋医学の考え方をもとに原因を究明し、それに基づき内臓の機能を正すことで根本改善を促すものです。
一人一人の体質(「証」といいます)に合わせ心身のバランスをとることが治療の目的なので、証を見極めるためじっくりとお話を伺ってお薬を選びます。
両者はそもそもの前提となる治療方法が大きく異なるため、症状や目的に応じて使い分けたり併用されることがよくあります。
複数の漢方薬を飲み合わせても大丈夫ですか?
どんなことに注意したらいいでしょうか?
漢方薬は、プロの東洋医学家が処方される場合、東洋医学独特の考え方で構成されています。
したがって、原則としてプロの東洋医学家に処方してもらっている時には、他のプロの処方される漢方薬、もしくは自分で選ぶ漢方薬も、むやみに飲まないことをおすすめします。
相互作用や副作用が起こる起こらないは別の話です。その理由を以下に列記したいと思います。
※ここでプロの東洋医学家と表現しているのは、東洋医学を学んだ医療従事者のことです。
1.プロの東洋医学家の処方はその人の体質にあわせた処方をしている
漢方薬(中医薬を含む)は、西洋医薬品のように、鼻水には◯◯、頭痛には◯◯◯◯◯、のように症状に合わせて選ぶだけではなく、プロの東洋医学家は、その人の体質を重要視したうえで、現在の症状や主訴を改善するものを選んでいきます。
さらに、東洋医学の世界では、陰陽五行説など、体の中の臓腑の働きは互いに関係しあっているという哲学を基本にしますので、一見症状とは関係ないような臓腑の働きにも作用するものを選んだりすることがあります。
東洋医学をきちんと学び、漢方薬を選ぶプロの人たちは、そのような色々のことを考えた上で、その人に合った処方を提案しています。その処方に他の人のみたての漢方が入ると全体の組み立てが狂ってきてしまう可能性があるわけです。
2. プロの東洋医学家にも色々な流派があります
一言に漢方と言っても、東洋医学には様々な流派や考え方があります。西洋医学が主流である日本においては東洋医学=漢方と思われがちですが、実は漢方という言葉は日本語で、日本独特の考え方で成り立っています。(諸説あります。どれが良い悪いの話ではありません)
中国における東洋医学の代表的なものは中医学と呼ばれています。韓国の東洋医学も韓医学と呼ばれています。
そして、異なる流派のプロは、同じ症状であっても当然見立てや処方内容が異なるわけです。
異なる流派、理論体系で見立てられたそれぞれの処方については、組み合わせると当然不具合が起きる可能性があるわけです。
ですから、ある東洋医学のプロに見てもらったら、他のプロの処方を組み合わせない方がいいと私達は考えています。
3. 漢方処方は、複数の生薬の組み合わせで出来ている
漢方薬(中医薬を含む)は、複数の生薬の組み合わせ、それぞれの生薬の量が処方によって異なります。
処方する東洋医学のプロは、葛根湯とか、小青竜湯など、違う処方を組み合わせて患者さんに出されることもあります。その場合それぞれの処方の中に含まれる生薬が重複したりする場合もあります。それは、その生薬の働きを際立たせたくてあえてそうしている場合もあったりします。
ですから、だしてもらった処方に、他のプロから選んでもらった処方を組み合わせるのは処方設計のバランスを崩しますし、場合によってはある種類の生薬だけを沢山摂ることになったりして危険な場合もあります。ですので漢方だから安全だろうと安易に併用しないことをおすすめします。
4. 日本漢方と中医薬では使用する量が違う
ここでは日本の漢方は日本漢方、そして中国の東洋医学は中医薬と表現させていただきます。
日本漢方と中医薬では、まず使用する量が大きく違います。非常におおまかな表現ではありますが、日本漢方は少なめで、中医薬は多めである傾向があります。ですから、中医学を学ばれたプロの東洋医学家は、中医薬の処方量の感覚で、日本の方剤をあえて多めに使われる方もいらっしゃいます。ですので少々多めに漢方処方薬を飲むことも場合によってはあると言えますが、そこはやはり処方されるプロの方の処方設計が原則ですし、ひとつひとつの処方に含まれる生薬の量まで考えて処方されているので、
他の漢方を組み合わせるのはおすすめできません。
5. 漢方処方は状態に合わせて調節していく
漢方を処方される東洋医学のプロは、その人の現在の症状、そしてその人の体質、さらには季節の環境の変化などを考慮して処方されます。
そして、その人の症状の変化などにあわせて処方も変化していきます。ですから、他の漢方を組み合わせて飲んでいたら、処方するプロの判断が正しくできないことになります。
漢方薬は副作用がなくて安全?
漢方薬は、天然成分の生薬で構成されていますので、化学薬品に比べて安全であると言えますが、実は、漢方薬にも副作用はあるのです。
漢方は、体質チェックをして「証」をみながらお薬選びをします。
しかし、その証にあっていないものを選んでしまうと、逆に副作用を起こすことだってあります。
漢方薬は、病気や症状ではなく、その方の体質にあわせるものです。
それを誤って病気に合わせてしまい、体質を無視してどんどん使われてしまったことで、事故が起こった例があります。
厚生省の副作用報告では、食欲不振や慢性肝炎などに使われる漢方薬「小柴胡湯(しょうさいことう)」の副作用の疑いで、1994年1月以降88人が間質性肝炎を起こし、うち10人が死亡していることが報道されたことがあります。
-厚生労働省副作用報告より-
94年前期に、頭蓋骨骨折で入院中に慢性C型肝炎と診断された69歳の男性が同薬を投与され、3週間後に発熱などを伴う間質性肺炎を起こし、約4週間後に呼吸不全で死亡したのをはじめ、同年1月以降、いずれも入院中か通院中の10人が死亡していた。
91年には間質性肺炎の副作用が指摘された。92年にはインターフェロンとの併用による副作用症例が増加、この間に副作用の疑いのある死者が9人出たことから、94年1月に、インターフェロンα類との併用が禁忌とされていた。しかし、その後も、併用ではないケースでも副作用報告が続き、死者も出たことから、さらなる注意喚起がのぞまれている。
同薬は、漢方薬の売り上げの3割近くを占める薬で、病院から安易に処方されることが原因であると言われています。
(薬局などで、風邪薬として売られる一般用からは副作用の報告はなかったそうです)
それから、最近「やせ薬」とか、内臓脂肪が気になる方に…
などのキャッチコピーで、大人気の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)ですが、
漢方の目で見ると、本来メタボリック症候群に使用する薬ではなく、
体全体に、熱のきつい症状の風邪ひきの時などに使用する漢方薬です。
この漢方薬は本来長期に連用しません。
必要以上に服用しすぎると、発汗しすぎて、体を冷やしすぎ、乾燥させます。
体内のエネルギーを奪いすぎて冷え症、消化不良、下痢、食欲不振、腹痛、倦怠感、精力減退などの危険性もあります。
漢方薬は、正しい飲み方をしてこそ安全です。
きちんと体質をチェックして、体にあったものを服用するようにしてくださいね。
どんな人でも漢方薬を飲めるの?
これは、回生薬局のご相談に対する考え方でお答えしますね。
漢方は、その方が本来もっている自分自身で病を治す力、自然治癒力を高めるコンセプトです。
ですから、その自然治癒力そのものの消耗が激しい方に対しては、
ご相談を受けられない場合があります。
店頭まで自分の足で歩いてこられる方であれば、みなさんご相談をお受けしております。
それから、病院にかかっておられて、主治医の方から他のお薬などの服用を制限されている方などは、ご遠慮いただくようにしています。
漢方薬は長く飲まないと効かない?
「漢方はゆっくりじわじわ効いてくるものなので、続けないと効果がない」
と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
これはある意味そうとも言えますし、一概にそうだと言い切れないことでもあるのです。
なぜなら、漢方の種類や飲む人の症状、状態、種類によって変わってくるからなのです。
天然成分で効き目はゆっくり… というイメージの強い漢方薬ですが、実は即効性のある漢方薬もあります。
飲んですぐ効く「切れ味の鋭い」漢方薬もあるのです。
ただ、そういう強い漢方を、ずっと安易に連用することは、
場合によっては副作用を起こす可能性もあるので注意が必要です。
飲む人の症状が急性疾患か、慢性疾患か?
またはアレルギーなどの体質系の疾患か?
ということでも、飲む漢方薬が違いますので、飲み続けるべきかそうでないかが変わります。
たとえば、あなたが風邪などの「急性疾患」で漢方薬を飲むとします。
当然、風邪が治ればその薬は中止しますよね。
ところが、いつも風邪をひく虚弱体質を改善したいということになると、
慢性症状を改善する漢方をある程度の期間、続けて飲むのが適しています。
たとえば、火事を想像してみてください。
ボヤのうちに消してしまえば、すぐに、少ない労力で火を消すことが出来ますよね?
ところが、大火事になってしまったら、
大きな消防車を導入して、時間をかけて大勢で、必死に消火しないと火を消すことは出来ませんよね?
病気もそれと同じです。
小さなボヤのうちに手を打つのと、大火事になってから手を打つのとでは、
時間も労力も変わってくるわけです。
また、アレルギー疾患など、
自分自身の免疫の働き(外から入ってきた異物を退治する働き)自体が起こしてしまっている症状だと、
慢性疾患とおなじく、改善には根気が必要とされます。
長く飲んで良い漢方と、そうでない漢方があるということ。そして、それはなぜかということをお答えしました。
このサイトでおすすめしているジヨッキは、
体質改善を助ける漢方薬ですから、連用に問題ない処方ですので、ご安心くださいね。
漢方薬はどんなものと飲み合わせても大丈夫?
漢方薬は自然の生薬で作られているため、
飲み合わせについて考える方は少ないように思います。
ところが漢方薬でも飲み合わせによっては危険なものもあるのです。
メディアでも大きく取り上げられたのが、
西洋薬のインターフェロンと漢方薬の小柴胡湯の組み合わせです。
これらを併用すると肺胞と肺胞の間に炎症が起こる病気、間質性肺炎を引き起こしやすくなります。
それから、意外に盲点なのが、漢方薬同士の組み合わせです。
漢方は複数種類の生薬で出来ていますが、複数服用すると、重複する成分などがあり、その成分だけ多く摂りすぎてしまうこともあるのです。
なので、漢方と何かを併用する時は、自分で判断せず、知識のある専門家に相談するようにしましょう。
メーカーが違っても、同じ名前の漢方薬(処方名)なら中身は同じ?
漢方薬も色々なメーカーさんが作っていますよね。
たとえば、同じ「葛根湯」にしても、
ツムラ、クラシエ、コタロー、オースギなどなどいろいろなメーカーがあります。
名前が同じならば中身も同じかとおもいきや、
実は、同じ名前の漢方薬でも、メーカーによって微妙に内容が異なるのです。
それは、
・原料の生薬の生産地と品質の違い
・原料の生薬の加工の違い:すりつぶしたり砕いたりする加工の違い
・原料を煎じるときの違い:抽出するときの時間や温度などの違い
・錠剤などにする場合、のり剤の違い:固めるためのデンプンや乳糖などの違い
・漢方の流派の違い:参考にする古書に記載されている内容の違い
などなど。
漢方は作り方次第で大きく違ってくるのです。
ものによっては、効果すら大きく違うような場合もあります。
漢方の専門家がいるお店で採用しているメーカーであれば、その専門家がこだわって選んでいることが多いと思いますから、どんな特徴のあるメーカーか聞いてみるといいかもしれませんね。
漢方薬を飲んでいますが、サプリメントを飲んでもいいですか?
まずサプリメントという分類も最近は非常に幅広い内容になってきているように思います。ですのでひとつひとつのサプリメントの中身によっても違ってくるということをまずご理解ください。漢方薬との飲み合わせで注意すべきだと思うものは栄養補助食品との飲み合わせです。
漢方薬は生薬で構成されていますが、おなじ原料の植物であっても生薬名とハーブ名が異なっているものがあります。たとえば、漢方薬に非常に多く使われている甘草ですが、ハーブ名ですとリコリスという名前で様々なサプリメントにも使われています。ですので漢方薬とハーブのサプリメントでも成分の重複などの可能性もあります。
また、漢方に使われる生薬には、医薬品区分と食品区分とがあります。医薬品の生薬は医療の現場で使われ、食品の生薬は健康食品やサプリメントとして使われているものもあります。そして食品の生薬であっても中国では医薬品として使われていたり、しっかりとした効果のあるものもあります。
ですので漢方薬との飲み合わせには注意が必要です。
いずれにせよ、これらは判断が難しいですので、原則として、漢方薬を処方してもらった東洋医学のプロの医療従事者にサプリメントを併用していいかどうかを
聴いていただくのが一番良いと思います。
漢方薬はいつ飲んだほうが一番効果がありますか?
漢方薬は複数の生薬の組み合わせで出来ており、繊細なバランスで効果を発揮します。日本においては、食前(食事の30分前)とか食間(食後2時間)という、なるべくお腹が空っぽのタイミングで服用することが一般的です。これは、お腹の中に食べ物があると、漢方薬の成分に影響してしまいバランスが崩れる可能性があるからです。
ただ、漢方を処方するプロの医療従事者によっては、どうしても飲み忘れが多い方や、諸事情で食前に服用することが困難な場合は、食後でもかまわないとおっしゃっているケースもあります。
いくら食前や食間が効果が良いと言っても、飲み忘れてしまっては全く意味がないからです。
漢方薬を処方してくれたプロの医療従事者の意向と、ご自身の服用事情をお伝えいただき、互いの事情をすり合わせたうえで服用することをおすすめします。
漢方薬を飲んでいますが効き目を感じられませんので、のむ量を増やしても良いですか?
漢方薬を処方したプロの医療従事者の場合、その処方構成は、患者さんの症状(急性か?慢性か?)そして主訴(なにから改善するか?)によっても内容が異なってきます。そして、漢方薬を処方したプロの医療従事者も様々な流派があり(日本漢方や中医学など)見立ての内容もそれによって異なります。あとは処方したプロの治療方針の違いもあります。まず激しい症状を改善しようとしているのか?じっくりゆっくりと改善しようとしているのか?によっても異なります。
そして東洋医学で大事なところは、服用していて体調の変化や経過を診ていくことです。
効果を感じないのであれば、自己判断で服用量を増やすのではなく、まずその旨と、体調などの変化をささいなことでも処方したプロに伝えることをおすすめします。
自己判断で飲む量を増やすのは、場合によっては合っていない処方をさらに服用することになったりもしますのでやめておくことをおすすめします。
煎じ薬やエキス剤、錠剤などありますが、どのように違いますか?また、おすすめはありますか?
漢方薬は複数の生薬の組み合わせで出来ています。伝統的な漢方薬の飲み方は、原料である生薬を煎だして、生薬の有効成分を抽出して飲む飲み方、つまり「煎じ薬」と呼ばれる剤形です。煎じ薬は、生薬がもっている薬効を引き出すのに最もすぐれた剤形であると言えます。生薬が本来もつ香りや精油成分なども摂取できるからです。
お味噌汁で例えると、出汁からとった手作りのお味噌汁と言ったところです。しかしながら、忙しい現代人が一日に数回生薬を煎じるのは大変な作業であると言えますし、液体なので持ち歩きに難があることなどがデメリットと言えるでしょう。
それに対して、エキス製剤と呼ばれるものは、原料である生薬を煎じて、その煎じ液をさらに濃縮させてエキスにし、それを乾燥させて顆粒であったり、錠剤の形に加工したものです。お味噌汁で例えると、インスタントのお味噌汁と言ったところで、何と言ってもメリットは飲みやすさや、携帯しやすいといった点にあります。しかしながら、煮詰める工程で、生薬がもつ精油成分などが飛ぶのがデメリットと言ったところです。
このように、いずれの剤形もメリットとデメリットがあると言えます。
効果を優先するのであれば、煎じ薬の方が生薬の効果が高いのでおすすめですし、お忙しい方、飲み忘れが多い方などの場合や、慢性の症状に服用する場合などはエキス剤が便利ではないかと思います。いずれにせよ、漢方を処方するプロの医療従事者としっかりと話をして適した剤形で服用することが一番良いと思います。
妊娠中や授乳中でも漢方薬は飲むことができますか?
漢方薬は天然由来の生薬で構成されていますので、妊娠中の方や授乳中の方に、産婦人科などで医師から処方されたりするケースがあります。
ただし、漢方薬は症状以外にも体質に対して処方されることがあります。妊娠中はまさに普段の体質とは異なる状態にあります。また漢方には血めぐりや血の道を改善するものが多くありますので、その時の状況にあわせて注意ぶかく漢方を選ぶべきです。
特に、妊娠初期、器官形成期などは、産婦人科の主治医や、漢方を処方する東洋医学のプロにしっかり相談した上で処方してもらうべきでしょう。
授乳については、母乳に移行して赤ちゃんが摂取することが問題がないかどうかをきちんとチェックする必要があります。特に注意すべきは便秘を解消する漢方薬です。妊娠中と同じくプロの医療従事者に相談の上処方してもらうことをおすすめいたします。
市販薬をドラッグストアなどで購入される場合も「妊娠・授乳中の方は服用をひかえてください」などの表記があるものは避けるようにしてください。
漢方薬は、水や白湯以外のお茶やジュースなどで飲んでもいいですか?
一言に漢方薬と言っても、粉末や顆粒、(煎じた)液体状、練団子のような丸薬、珍しいものになると膏剤という水飴状のものであるとか、色々な剤形があります。それによっても飲み方の細かい注意は色々と変わってくるのですが、基本的なことでご説明します。
漢方薬は、基本的に、漢方薬の原料となる様々な生薬を煎じて煮詰めて抽出したものです。ですから、その煎じ薬のもともとの状態に近くなるよう、
お白湯で飲むのが一番よい方法だと私達は考えています。
漢方薬は化学薬品ではなく天然成分ですので、他の影響をあまり受けにくいものが多く、お茶やジュースなどと化学反応を起こすものはほとんどありませんので、そういう意味では問題は少ないと言えます。(しかし味の面では、柑橘系のジュースなどと一緒だとさらに不味くなってしまう場合もあります)
漢方薬は、ハーブティーのように、原料である生薬の香りや精油成分、味も大切な効果につながりますので、なるべく漢方薬そのままの味や香りを味わいながら飲むことをおすすめします。
ただ、いくらよい漢方でも飲めなかったらまったく意味がありませんので、どうしてもお白湯以外で服用したい場合は、自分に漢方を処方してもらった専門家に相談しアドバイスを受けることをおすすめします。
漢方薬が苦くて飲みにくいのですが、どのようにして飲むとのみやすくなりますか?
漢方薬の香りや味には薬効があると考えられており、慣れないうちは飲みづらく感じる方もいらっしゃいます。
漢方薬の苦味や酸味、辛味、甘み、などの味や、精油の香りなども薬効のうちで、症状によっては苦味や甘みが、胃酸の分泌を促したり、胃腸の働きを良くしたり香りが、気分を爽快にさせたりする目的がありますので、お白湯で香りや味を感じながら服用することが大切だと私達は考えています。
しかし、いくらよい漢方でも、飲めなかったら意味がありません。
また、小さなお子さんや飲み込む力が衰えたご年配の方などは、漢方が飲みづらいという方がいらっしゃると思います。
その場合は、漢方の粉薬をオブラートに包んで服用したり、市販の漢方薬用の服薬ゼリーなどで、服用したり(漢方薬をゼリーに溶かし込むのではなく、ゼリーに挟んで飲み込むようなイメージです。)とよろしいかと思います。
特にお子様は、牛乳で服用したりするのも一つの方法です。
また、煎じ液で、吐き気がある時など、漢方薬の匂いで吐き気が増してしまう場合などは、冷やして服用されるとよいでしょう。
ある漢方医院では、抗がん剤の副作用で、飲み込むことが困難になった方に、煎じ液を凍らせて飲む方法を取られている所もあります。
ただ、漢方薬は体質にあっていると、以外に飲みやすい場合がよくあります。
子供さんでも、親御さんの予想に反し、そのまま平気で飲めたという場合もよくあります。ですので、初めから漢方薬を何かに混ぜて飲ませることはあまりおすすめしません。
以上、私達の考え方を書きましたが、漢方薬は患者さんの体質に合わせて専門家が処方や飲み方なども考えて出されていますので、今飲まれている漢方薬が飲みにくい場合は、処方してもらった専門家のアドバイスを受けられることをおすすめします。
漢方薬を服用していて、症状によって途中で違う漢方に変わることもありますか?
漢方薬は、症状や体質の状態によって途中で違う漢方に変わることはあります。
西洋医学は「症状」に着目して、漢方医学はその「原因」に着目します。
例えば、家の火事で考えますと、今火事が起こって、燃え盛っている炎をバケツで消すのが西洋医学と考えますと、その原因、ホコリまみれのコンセントが原因で火事が起こる場合、一時的に火をけしても原因のホコリが改善されないとまた火事が起こるように、掃除をしてホコリがつかないようにして火事が起こらないように改善していくのが、漢方医学です。
漢方医学では、その「原因」を「証」というものさしで考え、この「証」に着目します。
この「証」は、陰(いん)陽(よう)虚(きょ)実(じつ)気(き)血(けつ)水(すい)の組み合わせでみていきます。
そして、陰と陽、虚と実、気、血、水のバランスが崩れることによって病気が発生すると考え、漢方医学の診断と治療で重要とされるのは、そのバランスがどのように崩れているのかを把握して、そのアンバランスさをとらえて「証」の判定を行います。
「証」が決定されれば、どのようにしたら回復するのか、その為にどの漢方薬が良いのかが決まってきます。
漢方薬を服用していくと、身体のアンバランスが改善され、「証」が変わっていきます。
なので、そのときの症状や「証」の変化によって、現在の「証」にあった漢方に変更することもあります。
漢方薬によってはかなりニオイの強いものもありますが、長く飲み続ける事により、口臭や体臭の原因になったりしませんか?
漢方薬の原料である天然由来の生薬には独特の匂いがするものが沢山あります。生薬の効果の1つに揮発性の精油成分由来のものが多く、匂いも効果のうちと言えます。ですから独得の匂いを感じながら服用することは大切です。
生薬は天然由来のものですので、いってみれば普段の食品と同じようなものだと考えることができます。人それぞれ体質と生活習慣が違いそれにより体臭の違いもでてくるのですが、例えば野菜中心の食生活をしている方は体臭が少なかったり、にんにくを食べた時しばらくにんんにくの匂いがしたり、そういう意味で長期同じものを服用し続けていたら体臭への影響はあるかもしれません。
ただ、漢方薬はデトックスの効果があるものが多いですので、生薬そのものの匂いがきつくてもデトックスが進み老廃物が少なくなるにつれ、逆に体臭は減っていきます。
例えばクマザサのエキスなどのデトックス効果のある生薬を飲み続けると口臭や体臭は減っていきます。
また体臭の原因となるのは、汗の腐敗が多いのですが、体内のミネラルバランスが整うにつれ、腐敗しにくい汗、皮脂のコントロールがよくなります。
いずれにせよ、同じ漢方薬を漫然と続けるのではなく、体調の変化や症状の改善を定期的にチェックすることが大切だと私達は考えています。
体臭や口臭などについても気になることがあったら漢方の専門家や主治医に伝えることが大切だと想います。
西洋薬を処方してもらう際、医師によって服用を止めるタイミング(処方日数分飲み切る、症状がなくなれば止めてもいい)が異なりますが、漢方薬はどのタイミングでやめるのがベストでしょうか?
漢方薬であっても西洋薬であっても、基本的には服用のペースについては処方した医師や専門家の処方の方針をきちんと確認したうえで、ご判断されることをおすすめします。
漢方薬には、効果が穏やかで健康の基礎づくりのために継続するのに適したものや、即効性がありその時の症状を改善するために服用するのに適しているものなどの違いがあります。
例えば漢方薬で、ヨクイニンのイボに対する処方の場合、飲み忘れなくきちんと続けないと効果が出にくいものもあれば、芍薬甘草湯などのように即効性があり足がつるなどの症状が出た時に服用するよう指示される場合もあり様々です。
慢性的な症状に対して処方された漢方薬であっても、処方した専門家の考え方と、処方された方の状態や体質によって服用についての指示は異なります。
きちんと服用しないと効果の程が判断しにくいため飲み続けるよう指示される場合もありますし、服用しながら症状の変化をみて改善度をはかり、処方を変更していったり、一時休薬をして様子をみたりする指示の場合もあります。
ちなみに私達は後者のようにご提案したいと願っており、服用されていて最初に改善したい症状が改善したら、一度中止してもよいと考えております。もちろん日々の養生を心掛けて頂かないと、また再発する可能性も考えられるので要注意です。
いずれにせよ、まずは処方してもらった際に、処方した専門家の服用についての考え方や方針をきちんと確認し理解し納得することが大切です。
そして指示通りに漢方薬を服用していて、些細なことでも体調の変化を感じたり気になる症状が出たりした場合は、遠慮せずお伝えされることをおすすめします。
東洋医学では、心身ともに改善することを目指します。処方してもらう専門家とはきちんとコミュニケーションをとり、安心して服用することはとても大切なことです。
生活習慣が乱れ体調を崩しがちなのですが、オススメの漢方薬はありますか?
まずは生活習慣の改善を出来る限りしていただくことが大前提です。体調をくずす原因が改善されなければ、一度良くなった症状もくりかえすことになるからです。
もともと人間は自分自身で病を治すため、治癒力や抵抗力、免疫調節を行う力を持っています。本来の力が落ちる原因は、普段の食生活の乱れ、運動不足による血行不良、水分代謝の乱れ、またストレスによる神経や精神の乱れが原因です。
それらを改善するための生活方法を「養生」といいます。東洋医学ではこの養生を、漢方を服用すること以上に大切に考えています。
おすすめの漢方ですが、その方の生活習慣で「改善がしにくい部分」にあわせてチョイスすることが大切だと思います。
食事に問題があるのか?運動に問題があるのか?ストレスに問題があるのか?などにより選ぶものも違ってきます。
漢方薬には効果が穏やかで健康の基礎づくりのため継続するのに適したものや、即効性があり症状がある時のみ服用するものなど違いがあります。
生活習慣の改善については、前者のような効果が穏やかで健康の基礎づくりに役立つようなものを選ぶことが多いです。
飽食の時代を生きる現代人には、栄養を補うものだけではなく、無駄なものを排泄するデトックスの効果があるものをおすすめすること多々あります。
いずれにせよ信頼する専門家に相談してみましょう。普段の生活の状況などをお伝えして、自分にあった漢方薬を選んでもらうことがベストだと思います。
また漢方未病ラボでは漢方相談だけではなく、薬膳教室、ヨガ教室、アロマ教室、気功教室、耳つぼや足湯など、普段の養生に役立つ提案をおすすめしております。そちらも養生の一環として気軽に取り入れていただければと思います。
漢方薬の良い点は何ですか?
漢方薬は中国から5~6世紀に伝わった医学が日本の習慣や風土などに合わせて変化して体系化されたものです。
西洋薬では人工的に作られた成分を用いて数値に基づいた治療を行うのに対し、漢方薬は自然の生薬を使用し経験則から自分の体質に合わせて生薬を調合し治療していきます。
同病異治という言葉があるように、同じ病気でもその人の体質にあった漢方薬を選択して治療することがあります。逆に
異病同治という言葉もあり、異なる症状の病を同じ薬により治療することもあります。
漢方薬は急性疾患に使用するものと慢性疾患に用いるものがあります。また検査値では異常が見当らない不定愁訴や、検査値に異常があっても自覚症状がない「未病」という状態を改善することが出来ることも、漢方薬の良い点と言えるでしょう。
風邪で葛根湯はよく飲みますが、肩こりにも良いと聞きましたが本当ですか?
葛根湯に配合される生薬は、葛根(カッコン)、大棗(タイソウ)、麻黄(マオウ)、甘草(カンゾウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、生姜(ショウキョウ)です。
・葛根…鎮静作用があり、背中のこわばり等を抑える。
・麻黄…発汗、鎮咳、発熱、頭痛、咳嗽、喘息等に用いる。
・桂皮…発汗、解熱、鎮静作用等がある。
・大棗…体の痛みを和らげる作用がある。
・甘草…鎮静作用があり、腹部の痙攣や仏痛を抑える。
・芍薬…四肢や腹部の筋肉緊張を緩和する。
・生姜…肺や胃腸の冷えを強力に温め、冷えによる痛みを改善する。
肩や首の滞った血流をこれらの生薬が体を温めながら改善し、痛みも抑えてくれるため葛根湯は、風邪だけでなく肩こりにも効くと考えられています。特に長い間同じ姿勢であったり、冷えや緊張からくる肩こりに効果的であると考えられています。
急性の肩こりに向く漢方薬なので頓服でも効果がありますが、根本的には別の漢方薬を使用することが多いです。
また、虚弱体質の人や胃腸の弱い方には向きません。麻黄の成分により血圧が上がったり心拍数を 上昇させたりするため、血圧の高い方や心臓病をお持ちの方は注意が必要です。経皮はシナモンのことですので、シナモンアレルギーの方は注意が必要です。
基本的に肩こりに対して長期服用はおすすめしませんが、もし長期服用する場合には甘草による偽アルドステロン症(血圧上昇やむくみなど)にも注意が必要です。1~2週間程度服用しても肩こりの改善がみられない場合には、医師や薬剤師、登録販売者に相談しましょう。
漢方薬を飲み過ぎた場合にはどのようにしたらよいですか?
一般的に日本で使用される漢方薬の生薬量は、中国で使用されるものよりかなり少なめです。
また漢方薬によっては、緊急時に1日量を超えて服用するものもあります。
そのため数時間様子をみて問題なければ、次の時間の服用を控えるなどで対応すればよいでしょう。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
必要に応じて、服用した漢方をお持ちになりお近くの医療機関や薬局へ相談してください。
①小児、妊婦、高齢者、重い肝臓・腎臓・心臓などの疾患をお持ちの方
②以下の生薬が含まれるものは、特に過量により症状が出やすいです。
・附子、烏頭→アコニチン中毒。唇や舌のしびれ、動悸、のぼせ、悪心など。
・大黄→下痢、腹痛など(下剤をたくさん飲んだ症状と同じ)
・麻黄→不整脈、動悸、血圧上昇、尿閉、興奮など
・甘草→むくみ、血圧上昇、手足のだるさなど
漢方を含む一般的な医薬品の場合、以下のように対応するとよいでしょう。
①元気がない、吐き気、嘔吐、意識がないなど、普段と様子がおかしい時は直ちに医療機関を受診してください。
②普段と体調・様子が変わらない場合は薬を薄めたり、吸収を抑えられる可能性があるので多めの水や多めのお茶、牛乳、ヨーグルトなどを摂取し、安静にし様子をみてください。
(※牛乳、ヨーグルトなどにアレルギーのある方は服用しないでください)
食品でも食べ合わせたらよくないものがありますが、生薬でも良くない組み合わせがありますか?
生薬でも良くない組み合わせはあります。
生薬を配合し、組み合せた時に生じる関係性の中に相悪(そうお)・相反(そうはん)という分類があります。
これらは好ましくない組み合わせになります。
相悪(そうお)
ある生薬が他の生薬の効能を、弱めたり喪失させてしまうこと。
たとえば萊菔子(らいふくし)(別名:ダイコンの種)は、人参の気を補う効果を失わせてしまいます。
相反(そうはん)
2種類以上の薬物を同時に用いた場合に、有害な副作用を発生させること。たとえば附子と半夏、甘草と海藻の組み合わせがよくない、などあります。
これらは伝統的な文献に記載されていますが、歴代の処方に組み合わされている場合もあります。
漢方は様々な目的で、様々な生薬の組み合わせがあるため一概には言えず、今後も研究が必要な分野でもあります。
西洋医学的な考え方は、その「症状」に注目します。そして、漢方的な考え方 は、その「原因」に注目します。
この注目点の違いが漢方と西洋医学の違いの一つであります。
漢方では、その方の体質を細かく判断するための「証(しょう)」というものさしで考え、この証に注目します。大きく分類すると漢方では陰(いん)・陽(よう)・虚(きょ)・実(じつ)、気(き)・血(けつ)・水(すい)の組み合わせで証をみていきます。
漢方処方の原料である「生薬」。どんな漢方の名医が処方しても、肝心の原料である生薬が良いものでないと効果を正しく判定することは出来ません。処方内容が悪いのか、原料が悪いのかが判断できないからです。
漢方についてよくある質問にお答えします。ここにないことはお気軽にお問合せください。