出すことの方が大切な現代人
便秘というと女性の方が多く悩まれている症状と思われますが、加齢と共に男性の方も増加し、また高齢になるに従うと男性の方のほうが多く悩まれております。
便秘で困っていますという相談も多く頂きます。
カイセイ薬局では人間の体に入れるもの、そして出すものを方程式にたとえて
IN — OUT= 残
という風に表現しておりますが
生きていくために必要な栄養など体の外から入ってくるもの(食べたり飲んだりして体にいれるもの(例:食事、お酒、サプリメント、薬、空気など))が「IN」になります。
そしてエネルギーの消費や、老廃物などを排泄することなど体から外に出すもの(例:おしっこ、うんち、汗、息など)が「OUT」になります。
「残」と表現している部分が私たちの体になります。
その「残」の状態が、私たちの体の健康状態として表現できます。
便秘はINはしっかりおこなっているのに、OUTがが十分にできていないことになりますので本当はだしてしまわなければいけないのに余分なものが多い「残」の体ということになります。 こと飽食の時代とよばれる現代人の私たちにとっては、 INよりもむしろ OUTの方が大切だと考えます。だすものはだしてスッキリとした体にぜひしていただきたいと思います。
そもそもお通じが出ない状態を便秘といいますが、医学的には毎日の排便ではなく2〜3日に1回程度しか排便がなく、 便意はあるがなかなか便が出ない、便が出なくて苦しいといった自覚症状がある場合と言われています。
現代医学における便秘の分類
では便秘について少し説明しますが、便秘にもたくさんのタイプがあります。
便が作られる過程や排便の仕組みに障害があるために起こる「機能性便秘」と、腸そのものの病変によって起こる「器質性便秘」があります。
一般的によく便秘と呼ばれている症状のものは、この「機能性便秘」になり、腸などの機能には問題がなく、便が作られる過程や排便の仕組みに障害があるので食生活の改善や日常生活の見直しなどの生活習慣の改善によって改善されることが多くあります。
一方の「器質性便秘」は大腸が病気などの影響により働きがわるくなっている状態や小腸、大腸、肛門などに障害がある、腸管が何らかの原因で狭くなってしまっている、もしくは先天的な原因などの消化管(小腸・大腸)の器質的障害が原因で排便がスムーズにいかないために便秘になることをいい、この症状は早々にお医者様に相談していただく必要があります。
一般的に多い症状の機能性便秘ですがこの機能性便秘のなかにも一過性の「急性便秘」と、便秘の状態が日常的に続いている「慢性便秘」にわけることができまた「慢性便秘」は3つのタイプにさらにわけることができます。
弛緩(しかん)性便秘タイプ
食事量が少なかったり、運動不足や加齢などによる腹筋力が低下などで、腸管の刺激が少ないために起こるタイプ
痙攣(けいれん)性便秘タイプ
精神的ストレスや過敏性腸症候群により大腸の動きが悪くなっているタイプ
直腸(ちょくちょう)性便秘タイプ
便意を我慢したり、下剤や浣腸の乱用で直腸の感覚が鈍くなってしまうタイプ
必ずしも全員がこのタイプにわかれるわけではありません。
また便秘が起こる原因は、食べものを食べると胃に入ります。すると胃に食べ物があるという情報が脳に送られ、脳が胃にある食べものを腸へと送るよう指示します。この指示がくると腸はミミズがくねくね動くような運動を行い、体に吸収されなかった残りの食べかすを肛門の方に押し出し、排便を促します。
しかし排便を促しているにもかかわらず、便意をガマンし続けることがあると、指示をしても指示通りに反応がないとして便意が起こらなくなってしまいます。
他にもきちんと食事をとらずに食べ物の量が少なかったり、食べたもののなかに食物繊維の量が少なかったりすると便の量が少なかったりして便意が起こらなくなってしまいます。
原因をみると便意があった時には我慢せずに出すということが重要ということがわかりますが、仕事中や移動中などでどうしてもトイレに行けずに我慢してしまっている人もいるかと思います。
そこでまずは朝、トイレに行く習慣をつけて、まず朝、スッキリだすように心がけてください。
また毎朝スッキリだすためには食生活や生活習慣の改善が大切になります。
食事は野菜や海草類、キノコ類など食物繊維が豊富な食材を使ったものを食べるように心がけてください。
また運動不足も便秘の原因になりますので激しい運動ではなくて結構ですので定期的に運動をぜひ行ってください。
東洋医学の便秘の分類
東洋医学においては、症状の原因となっている体調や体質の改善を考えます。
ですので、同じ便秘という症状であっても選ぶ処方はその人その人によって異なります。
東洋医学では、「気・血・水」(き・けつ・すい)という3つの要素が重要だと考えられており、
この3要素がいずれも滞りなく循環している状態がベストの状態だと言われております。
ですから、便秘の症状もこれらの働きのどこが乱れているのかを手掛かりに考えていきます。
その人の体質を問診したり、場合によっては脈をとったり舌をみたりしてどのタイプの便秘かを判断していきます。
東洋医学の便秘の原因の考え方の代表的なものを簡単にご紹介します。
1.熱秘
体の中に熱を持ちやすい人に起こる便秘のタイプです。
体内に熱がたまりすぎて、便が乾いて潤いが不足して出にくくなるイメージです。
便が乾燥して硬い感じ、便が非常に臭い、お腹が張った感じ、おならが多いなどの特徴があります。
割合体力が充実した方に多く、舌が赤く、黄色い苔が多かったり、熱っぽかったり、口が乾きやすかったり、赤ら顏であったり、尿が濃く少量であったりする体質の方に多い症状です。
体内の余分な熱を増やしすぎないよう刺激物や過度の飲酒や、食生活の乱れに注意することが大切です。
漢方薬(中薬)は、体内の余分な熱をとり不足した潤いを与えるような処方で対処します。
2.虚秘
病気などの様々な原因で、体のエネルギーが衰えたことにより、便をうまく排出する働きが虚しておこる便秘です。
血や気などのエネルギーが不足していることが原因です。
お腹の筋肉に力がなく、腸の動きそのものも鈍っています。舌はうすい色で、かいて気持ちの悪い汗がでたり、血色が悪く、便を出すのにも疲れてしまうといった特徴があります。
普段の生活においてもとにかく体力を回復するため保養することが大切です。
漢方薬(中薬)は、「気」のエネルギー「血」のめぐりなどを回復させる処方で対処します。
3.気秘
ストレスなどが原因で、体の中の気の流れが滞り起こる便秘です。
気の流れの滞りが肝の働きを悪くして便に影響します。
胸がつかえたような感じや、あくびがでたり、食欲がなくなったりする特徴があります。
ストレスを抱えすぎていて、鬱々とした感じになっている神経性の症状がある状態の方に多い便秘です。
普段の生活においてもストレス解消を心がけることが第一に必要です。
漢方薬(中薬)は、うつうつとした気分を解消したり気の滞りを改善したり、肝の働きや、場合によっては肺の働きをよくする処方などで対応します。
4.冷秘
加齢や老化などが原因で、お腹(腸のあたり)が冷えて極端に働きが悪くなることで起こります。
森羅万象、冷えると固く縮こまりますが、そのようなイメージです。
冷えてお腹が痛くなったり、手足なども冷え、血行も悪く、舌の色はうすく、白い苔があり、うすい小便がダラダラと出たり、体もだるく力が入らない状態などが特徴です。
普段の生活でもとにかく冷え対策、体をあたためる食生活や、衣類などに注意をして下腹部の血行を良くしてあたためてあげることが必要です。
漢方薬(中薬)は、体をあたためて血行改善する処方で対処します。
東洋医学による改善のススメ
このように東洋医学においては、便秘の原因もその人の状況や体質によってさまざまなタイプがあり、それらに合わせて改善方を考えていきます。
お1人お一人で体質が違うように便秘といってもまったく症状の方はいらっしゃいません。下剤などで一時的に排便を行ってもまた同じことの繰り返しでは根本的な解決にはなりません。漢方ではその方にあったものを処方することでじっくり便秘と向き合い根本的解決を目指して様々はご案内を行う事が出来ます。
妊娠中などの方も安心して飲むことができる漢方薬をご案内いたしますので、お通じがなくて・・・という方はぜひ一度お気軽にご相談ください。
IN — OUT = 残 は大切なことです。
OUTがうまくできないことで肥満や肌荒れなどの原因にもなります。
スッキリした毎日をぜひ送っていただきたいと思います。
健康である状態と病気の状態との間には、"病気にはなっていないが健康ではない状態""病気ではないが、病気に向かっている状態"などの微妙な状態がありますが、このような状態を東洋医学では未病と表現しています。
慢性病とは、文字通り"慢性の経過をたどる病気"のことです。つまり長く続く病気であるという意味です。慢性病患者とよばれる方々、高血圧などの生活習慣病患者は年々増加傾向にあると言われています。
現代社会は、食べ物には困らない飽食の文化と言われています。つまり、食べたり、飲んだり、体の中に何かを入れることにはこと欠かない時代です。ですから、食べ物などを入れることよりもむしろ体の中の悪いものを体の外に出すことがデトックスであり、大切になっています。
体臭とは、尿や便などの排泄物や汗などの分泌物などが原因となり、体から発せられる臭いのことを言います。 そして、体臭にはものすごく個人差があります。年齢差、性差、国籍差なども関係します。
加齢臭の原因は「ノネナール」という物質です。人間は中高年になると、皮脂の中に含まれる脂分の性質が変化してくるのです。脂肪酸の一種である、9―ヘキサデン 酸が増えて酸化が進みやすい状態になり「ノネナール」が増加してしまうのです。
「冷えは万病のもと」と言われていますが、東洋医学の世界においては「冷え」は病気の原因として重要な要素として捉えいます。東洋医学においては、この冷えの症状を重要視し、冷えへの対応を得意としてきた歴史があります。