花粉症とは
毎年新しい年をむかえると、誰しも清々しい気持ちになるものです。
でも中には「また今年もあの症状に悩まされるのか」とちょっと憂鬱な気持ちになる方々もいらっしゃいます。
そんなやっかいな症状のひとつが花粉症です。
花粉症とは、スギやヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目やのどのかゆみ・顔や首など皮膚のかゆみ等のアレルギー症状を起こす病気で多くの人を悩ませております。これは花粉が飛ぶ季節に発症するために季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれており、ただ鼻だけの症状というわけにはいきません。鼻は、人間の体にとって重要な「呼吸」や「免疫」の働きにかかわるとても大切な場所です。 ですから、集中力がなくなったり、倦怠感がでたり、体がだるかったり、イライラしたりという、体の他の部分にも不快な症状をおよぼします。
なぜそのような症状がでるのかというと、人間の体には、体内に有害な物質が侵入しようとした場合にその有害物質を排除しようとする働き(免疫反応)が備わっています。人によって違いますが特定のアレルゲンに対して過剰反応を起こす場合をアレルギー反応といい様々な症状がでますが花粉症は花粉が入ってきたときにこの花粉を有害物質と認識し過剰な反応をおこし「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目やのどのかゆみ・顔や首など皮膚のかゆみ等」のつらい症状がでるというわけなのです。
花粉は悪者?
花粉症は植物の花粉により起こる季節性アレルギーと前述したように原因となる植物は2月〜4月はスギ花粉、3月〜5月はヒノキ花粉、8月〜10月はブタクサ・ヨモギ花粉とその人その人により、発症する花粉の種類も季節も様々です。花粉症の方にとっては、花粉は見るのも嫌な諸悪の権化ですが…
自然界に存在する植物があれば、花粉も当然、太古の昔から普通に存在するものです。そう考えると、花粉症は花粉という物質に問題があるのではなく、花粉を異物とみなして過剰反応してしまう現代人である我々の体の中に原因があると言えます。
花粉症は住環境、食生活、遺伝的体質などの様々な要因が重なって発症するといわれております。
今起こっている鼻炎の症状を抑える抗アレルギー剤はたくさん開発されていますが、飲んだその時は良くても飲まないと症状が改善しないとか、毎年花粉の時期には症状を繰り返すとか、治るどころか年々症状がひどくなるという方は花粉症を起こしている体の中の原因を改善する必要があると考えます。
そして、体の中の原因を改善するのは東洋医学の得意な分野でもあります。
東洋医学における花粉症の考え方
※ここで出てくる「東洋医学」や「漢方」という言葉は、厳密には日本や中国流派により異なるものですが、わかりやすく表現するためにそれらの違いについては割愛している部分がありますがご了承ください。
ざっくりとした話ですが… 東洋医学において鼻炎の症状は、体の中にかたよった水分の悪さ という考え方をします。まずそのことからご説明します。
花粉症に限らず、アレルギー性の鼻炎の症状が出やすい方は、水分代謝(体の水はけ)が悪い傾向の体質の方であるという見方をします。体の水はけが悪くなる原因は様々で、もともとの体質によるところの他、現代人のライフスタイルによるところも大きいと言われています。
例えば、まず単純に水分の必要以上な取りすぎです。
「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がありますが、体にとって不可欠な水分であっても過度に取りすぎると体に偏って偏在し悪さをする場合があるという考え方をします。これを「水毒」と表現したりもします。
後は、冷たいもの、体を冷やすもの(グラニュー糖などを使ったものや乳製品など)の取りすぎで代謝が悪くなる場合や、胃腸が疲れて水分代謝が悪くなってしまう場合、クーラーなどによる体の冷やしすぎ、あとは過剰なストレスなどでもこれらの代謝の働きが乱れることがあります。
というわけで東洋医学では、まず花粉症の原因を「体の中にかたよった水分の悪さ」と捉えて原因解決の糸口をつかんでいくわけです。
気・血・水の乱れを考える
そして次に体全体のバランスのかたよりを見るのですが…
またざっくりと表現しますと
「体の調子を保つために大切な三つの要素、気・血・水の乱れがどのような状態であるかを考える」
という思考で考えを進めます。
東洋医学においては、人間の体の調子は「気・血・水」の3つの要素が違いに関係しあってバランスを保っているという考え方をします。
「気」は生命エネルギーの一種、自律神経神経の働き、「血」は血行、「水」は水分代謝と考えていただければとおもいます。
鼻炎は、体内の水分代謝の不良と説明しましたが、この「水」は気・血・水の「水」と同じになります。
「水」に異常があり水の流れが悪くなっていると水だけが悪いのではなく気や血もかかわってくるというわけです。
気・血・水の乱れはその人によっても様々ですので、鼻炎の方が全く同じ症状であるとは限りません。
患者さまの花粉症や鼻炎の症状をお聞きするだけではなく、体質を見るためにこれらの気・血・水の状態に関わる体情報をお尋ねさせていただきます。
鼻炎症状の寒熱(かんねつ)を見る
次に鼻炎の症状についてさらに詳しく判断していきます。
簡単に表現すると、鼻炎の原因である、体に悪さをしている水分がどのような状態であるかを寒熱という観点で判断していきます。
寒熱(かんねつ)とは、熱性の症状であるのか、寒性の症状であるのかという観点の考え方です。わかりやすい表現で書くとすると、怪我をしたときを想像してください。
捻挫など怪我をしたての時は幹部が腫れて炎症を起こしていますので、コールドスプレーをしたり冷やす湿布をつかったりします。
逆に、冷えると痛みが出たりする症状のときは、カイロであたためたり、温泉につかって療養したりしますよね。
同じ怪我でも、その時の寒熱の状況により対処が異なるわけです。
そんな観点から、鼻炎についてもその時の寒熱を判断して対処を変えていくわけです。
鼻炎の原因となっている悪さをしている水分がどのような状態かを以下二つのタイプで説明します。
※痰… ここでは体に悪影響を及ぼす不要な水分のことを痰と表現します。
寒痰(かんたん) 炎症が激しくなく、鼻水は透明で水っぽいものが出る場合などは、体が冷えている鼻炎であると判断します。 寒痰は、体内の水分代謝バランスがくずれて、必要なところに水分が不足して、不必要なところにかたよって偏在している状態です。
熱痰(ねつたん)目や鼻、のどの粘膜は赤く腫れ、鼻水も黄色く粘る場合などは、体に偏在していた水分が少し熱っぽい状態に移行した鼻炎であると判断します。
一概に花粉症といっても症状もみんな全く同じではありません。 このような観点から、その人の症状にあった漢方薬をお選びしていくというわけです。
漢方薬選び
色々な観点からその方の体質や症状にあった改善提案を漢方でお手伝いいたします。
まずは、漢方薬を選びます。
症状によって効果を優先したり、体質改善を優先したり漢方選びを考えます。
あるいは、現在飲まれている薬と併用する場合などは、併用してさしつかえない内容にしていきます。
さらに、その方のライフスタイルに合わせて 煎じ液状、顆粒状、錠剤などの選択を変えたりすることもあります。
また漢方薬の良いところは、のどの渇きがでたり、眠気がおこったりという症状がでてくることなどの副作用がほとんどないことです。
花粉症という症状を改善するとともに、その原因となる体質もととのえていくことを目指してお薬選びをしていきます。 体質をととのえることは体全体の調子を整えるためにも、とってもよいことになります。
漢方で花粉症の治療や体質改善を行うと同時に日常生活でも気を付けていただき早くつらい花粉症とさよならしていただきたいと思います
お一人お一人で体質も症状も違いますので、漢方では処方時にしっかりお話をお伺いして、その方にあった漢方を選薬いたします。
わすれてはいけない「養生」
東洋医学は、その方の体質を改善することを目標としますが、薬だけで改善するわけではありません。
自分自身の治癒力を応援するのが漢方薬ですので、当然自分自身の生活改善などの努力も必要となります。
普段から病気にならないよう生活改善を心がけることを「養生」と表現しております。
花粉症の養生も以下に書いておきます。
・花粉の飛散が多い日は外出を控える
・外出時にはマスクやメガネなどを着用して花粉を吸い込まないようにする。
・花粉の時期には洗濯物の外干しを避け、洗濯物へ花粉が付着しないように気を付ける。
・家の中の掃除をこまめにする。
・外から帰ってきたら家の中に花粉を持ち込まないように洋服などをはたいて入る
・外から帰ってきたらすぐに顔や手を洗い花粉を落とす
・規則正しい生活を送る 体内時計が不規則にならないように
・必要以上に水分のとりすぎをひかえる
・体を冷やす食べ物のとりすぎをひかえる。
甘いもの(特に乳製品、グラニュー糖を含むもの)には注意を。
・お野菜をきちんと噛んでしっかり食べるように
・胃腸がくたびれるような食生活(外食、不規則、早食いなど)を控える
・リラックスするように気を付ける。睡眠不足に注意を。
・体を冷やさないように気を付ける 特に下半身を冷やさないよう
・軽い運動を行う 特に体内に熱を生む下半身の運動を
・ストレスをためないようにする。気分転換をはかる。
怒りすぎたりクヨクヨしないように。
これまで漢方薬で花粉症対策を行ったことがないという人は、この機会に試してみてはいかがでしょうか。
回生薬局では来店相談のみではなく電話、スカイプなどでの漢方相談を受け付けております。
専門スタッフが丁寧に対応いたしますので、お一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
健康である状態と病気の状態との間には、"病気にはなっていないが健康ではない状態""病気ではないが、病気に向かっている状態"などの微妙な状態がありますが、このような状態を東洋医学では未病と表現しています。
慢性病とは、文字通り"慢性の経過をたどる病気"のことです。つまり長く続く病気であるという意味です。慢性病患者とよばれる方々、高血圧などの生活習慣病患者は年々増加傾向にあると言われています。
現代社会は、食べ物には困らない飽食の文化と言われています。つまり、食べたり、飲んだり、体の中に何かを入れることにはこと欠かない時代です。ですから、食べ物などを入れることよりもむしろ体の中の悪いものを体の外に出すことがデトックスであり、大切になっています。
体臭とは、尿や便などの排泄物や汗などの分泌物などが原因となり、体から発せられる臭いのことを言います。 そして、体臭にはものすごく個人差があります。年齢差、性差、国籍差なども関係します。
加齢臭の原因は「ノネナール」という物質です。人間は中高年になると、皮脂の中に含まれる脂分の性質が変化してくるのです。脂肪酸の一種である、9―ヘキサデン 酸が増えて酸化が進みやすい状態になり「ノネナール」が増加してしまうのです。
「冷えは万病のもと」と言われていますが、東洋医学の世界においては「冷え」は病気の原因として重要な要素として捉えいます。東洋医学においては、この冷えの症状を重要視し、冷えへの対応を得意としてきた歴史があります。